親御様の法要の準備を進める中で、お寺からふと「お花代」の話が出たり、親族に指摘されたりして戸惑うことはありませんか?
「お布施とは別なの?」「少なすぎて失礼になったらどうしよう」といったお金に関する不安は、施主様にとってなかなか人に聞きづらい、切実な悩みですよね。
この記事では、お寺での法要におけるお花代の相場や正しいマナーを解説します。当日は安心して故人様と向き合えるよう、今のうちに不安を解消しておきましょう。
【忙しい方へ:要点まとめ】
| 項目 | マナーの正解(目安) |
|---|---|
| 相場の金額 | 5,000円〜10,000円程度 |
| 封筒の種類 | 不祝儀袋(水引は黒白または双銀の結び切り) |
| 表書き | 上段に「御花代」、下段に施主名 |
| 筆の色 | 四十九日までは「薄墨」、それ以降は「濃墨」 |
| 渡し方 | お布施とは別の封筒に入れ、挨拶時に渡す |
お寺の法要で包むお花代の相場金額と封筒の正しい書き方

この記事で分かること
- お寺に渡すお花代の具体的な金額相場
- 失敗しない封筒の選び方と表書きのルール
- お布施とお花代を渡す際のマナーと手順
- 法要の種類による違いや場所代との関係
- よくある疑問への具体的な回答
法要の準備において、特に施主様が頭を悩ませるのが「いくら包むか」「どの袋を使うか」という具体的な正解ではないでしょうか。
マナー違反をして恥をかきたくない、と思うのは当然のことです。ここでは、お寺へのお花代に関する基本的なマナーと、失礼にあたらないための「正解」を一つひとつ紐解いていきます。
お花代の相場は5,000円〜1万円が一般的な目安
お寺での法要において、お花代として包む金額は5,000円から1万円が一般的な相場とされています。
「気持ちで」と言われると困ってしまいますが、この金額は、本堂のご本尊や祭壇にお供えする生花の実費として考えられることが多いです。ただし、法要の規模やお寺との付き合いの深さによって多少の変動はあります。
地域や宗派による違いも考慮しつつ、以下の目安を参考にしてみてください。
- 一般的な法要(一周忌・三回忌など): 5,000円〜10,000円
- 大規模な法要や特別な飾りつけを依頼する場合: 10,000円〜20,000円
- 親族間での取り決めがある場合: 親族の年長者に相談して合わせる
もし金額に迷ってしまった際は、少なすぎて後悔するよりも、1万円を包んでおくと安心です。
封筒は不祝儀袋を選び水引は黒白または双銀にする
文具店やコンビニの棚の前で、「どれを選べばいいの?」と迷ってしまうのが封筒(のし袋)ですよね。
現金を包む封筒は、弔事用の「不祝儀袋」を選びます。水引の色は、地域や金額によって使い分けるのがマナーですが、基本的には黒白または双銀の結び切りを選べば間違いありません。
主な水引の選び方は以下の通りです。
| 水引の色 | 用途・特徴 |
|---|---|
| 黒白(結び切り) | 最も一般的。四十九日までの法要や、金額が1万円以下の場合によく使われます。 |
| 双銀(結び切り) | 3万円以上包む場合や、五十回忌などの節目に使われることが多い格式高い水引です。 |
| 黄白(結び切り) | 関西地方などで、四十九日以降の法要によく用いられます。 |
購入する際は、「仏事用」と書かれたものを手に取りましょう。蓮の花が印刷されたものは仏教専用ですが、無地のものであれば宗教を問わず使用できます。
※参考:不祝儀袋の選び方とマナー|公益社
表書きは「御花代」で統一?薄墨と濃墨の使い分けマナー
封筒の表書き(上段)には、「御花代」と書くのが最も一般的で、誰が見ても分かりやすい表現です。お寺に対して渡す場合は「御花料」と書くこともありますが、どちらでもマナー違反にはなりません。
下段には、施主のフルネーム、または「〇〇家」と家名を記入しましょう。
また、意外と見落としがちなのが「墨の濃さ」です。時期によってルールが異なるので注意が必要です。
- 四十九日法要まで: 悲しみの涙で墨が薄まったという意味を込めて「薄墨」を使用します。
- 四十九日法要以降(一周忌など): 忌明けとなるため、通常の「濃墨(黒)」を使用します。
筆ペンを準備する際は、法要の時期に合わせてインクの種類を確認しておくと、より丁寧な印象になりますよ。
中袋へのお札の入れ方と新札に関する注意点を解説
現金を中袋に入れる際にも、弔事ならではの作法があります。
まずお札の向きですが、封筒を開けたときに肖像画が見えないよう、肖像画を裏側にし、さらに下側(底)に来るように入れます。これには「悲しみで顔を伏せる」という意味合いが込められています。
お札の状態については、以下の点に少し気をつけてみてください。
- 新札は避ける: 弔事では「不幸を予期して準備していた」と思われないよう、新札は避けるのが伝統的なマナーです。
- 新札しかない場合: 一度折り目をつけてから包めば問題ありません。
- 汚れすぎたお札も避ける: あまりに古く汚れたお札は失礼にあたるため、適度にきれいなものを選びましょう。
中袋の裏面には、住所と金額(「金 壱萬圓」など旧字体を使用)を忘れずに記入しておくと、お寺側での事務処理がスムーズになり、親切です。
御布施とは別にする?お花代を渡す際のマナーと手順を解説

金額や袋の準備ができたら、次は実際に渡す際の手順を確認しましょう。「お布施と一緒にしてもいいの?」「いつ渡せばいいの?」といった疑問を解消し、当日の振る舞いに自信を持てるようにします。
お花代と御布施は別の封筒に分けて包むのが基本
お寺にお渡しする金銭には、「読経への謝礼(お布施)」や「交通費(御車代)」などさまざまな名目がありますが、お花代とお布施は別の封筒に分けるのが基本です。
これは、お布施が僧侶個人や寺院への寄付的な意味合いを持つのに対し、お花代は「お花の実費」としての性質が強いためです。
- 封筒を分ける理由: お寺側で会計処理や管理が異なる場合があるため。
- 例外的なケース: お寺によっては「すべてまとめてお布施として」と言われることもあります。
もし事前に確認が難しい場合は、念のため分けて用意しておき、渡す際に「こちらはお花代です」と一言添えるのが、最も丁寧で安心な方法でしょう。
お寺に渡すタイミングは挨拶時か法要の開始前
いざ渡す段になると、タイミングを逃してしまわないかドキドキしますよね。
お花代を渡すベストなタイミングは、法要が始まる前の挨拶をする時です。お寺に到着し、控室や受付で住職や寺務所の方に挨拶をする際、お布施などと一緒に差し出します。
渡す際の手順は以下の通りです。
- 切手盆(小さなお盆)に乗せる: 直接手渡しするのではなく、お盆に乗せて差し出すのが正式なマナーです。
- 袱紗(ふくさ)を使う: お盆がない場合は、袱紗の上に封筒を乗せて渡します。
- 文字の向き: 相手から見て文字が読める向き(自分とは逆向き)にして差し出します。
「本日はよろしくお願いいたします。こちら、御布施とお花代でございます」と添えると、スマートで好印象です。
現金ではなく現物のお花を持参する場合の確認事項
お花代(現金)ではなく、故人が好きだった花束やアレンジメントといった「現物」を持参したい、と考える方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、必ず事前にお寺へ確認することが大切です。お寺によっては、指定の花屋があったり、本堂の飾り付けの統一感を守るルールが決まっていたりする場合があるからです。
確認すべきポイントをまとめました。
- 持ち込みの可否: 生花の持ち込みが可能か、またその場合にお花代(現金)は不要か。
- 花の種類の指定: トゲのある花や香りの強い花は避けるなど、お寺ごとのルール。
- 配送のタイミング: 当日持参か、前日に配送業者から届けるべきか。
良かれと思って無断で持ち込むと、飾る場所がなかったり準備と重複したりして、かえって迷惑をかけてしまう可能性もあります。事前の相談は忘れずに行いましょう。
四十九日法要で知っておきたいお寺の場所代と供花の注意点

法要の中でも特に重要な節目とされる「四十九日法要」。
この法要では、他の回忌法要とは少し異なる準備や費用が発生することがあります。場所代やお供え花の関係性を整理して、予算の不安をなくしておきましょう。
四十九日法要でお寺にお花が必要となる理由とは
四十九日は、故人が極楽浄土へ旅立つとされる大切な日です。
そのため、本堂の祭壇を通常よりも華やかに飾り付け、故人を送り出すという意味合いでお花が特に重要視されます。普段の法要よりもお花の量が多くなるため、その分費用がかかるケースが多いのです。
お寺によっては、施主様が用意するのではなく、お寺側ですべて手配してくれることがあります。
- お寺手配のメリット: 本堂のサイズや仏具に合った適切な花を用意してもらえる。
- 施主の役割: その実費として「お花代」を包むことが求められます。
このため、四十九日法要の打ち合わせでは、「お花の手配はどうすればよいか」を必ず確認しておくと安心です。
※参考:四十九日の花の相場とマナー|小さなお葬式
お寺で法事をする場合の場所代とお花代の関係性
自宅ではなくお寺の本堂を借りて法要を行う場合、「場所代(本堂使用料)」が発生することがあります。
ここでお金の計算がややこしくなるのが、「お花代が場所代に含まれているか、別々なのか」という点です。
お寺によって料金体系は異なります。
| パターン | 内容 |
|---|---|
| 場所代とお花代が別 | 「使用料〇万円」「お花代〇万円」と明確に分かれている場合。それぞれ用意します。 |
| 場所代に含まれる | 「本堂使用料」の中に、お花やお供え物の費用も含まれている場合。 |
| すべてお布施に含む | 明確な金額提示がなく、「お布施」としてまとめて包むよう言われる場合。 |
もし分からない場合は、「お花代や会場費は、お布施とは別に包んだ方がよろしいでしょうか?」と率直に尋ねてしまっても失礼ではありません。曖昧にしておくより、ずっと丁寧です。
塔婆料や御膳料など他の費用との兼ね合いを確認
法要にかかる費用はお花代だけではありません。
卒塔婆(そとば)を立てる場合の「塔婆料」や、法要後の会食を僧侶が辞退された場合の「御膳料」なども考慮して、トータルの予算を組む必要があります。
それぞれの目安は以下の通りです。
- 塔婆料: 1本につき3,000円〜5,000円程度。
- 御膳料: 5,000円〜10,000円程度(会食がない場合)。
- 御車代: 5,000円〜10,000円程度(お寺以外に来てもらう場合)。
これらはお花代やお布施とは別の封筒に用意するのが一般的です。当日受付で慌てないよう、必要な費目と封筒の数をリストアップしておくことをおすすめします。
法要前に解決!お寺へのお花代に関するよくある質問Q&A
法要の準備を進めていると、「これってどうなんだろう?」という細かな疑問が次々と湧いてくるものです。
ここでは、多くの施主様が抱える「よくある質問」に対して、マナーの観点からお答えします。
お寺から「お花代は不要」と言われた場合は?
お寺から「お花代は結構です」と言われた場合、基本的にはその言葉通りに受け取って問題ありません。お布施の中に含まれているか、お寺の方針で徴収していない可能性があります。
ただし、どうしても「本当に何もなくていいの?」と気が引ける場合は、以下の対応を検討してみてください。
- お布施に少し上乗せする: 感謝の気持ちとして、お布施の金額を少し多めに包む。
- お供え物を持参する: 現金の代わりに、日持ちする菓子折りなどを持参する。
無理に渡そうとするとかえってご迷惑になることもあるため、お寺のご厚意には素直に甘えても大丈夫ですよ。
家族のみの法要でもお花代は包む必要がありますか?
家族や親族のみで行う小規模な法要であっても、お寺の本堂を使用し、お寺側でお花を用意してもらうのであれば、お花代は包むのがマナーです。
参加人数の多い少ないと、お花代の有無は直接関係ありません。
- 判断基準: 「誰がお花を用意したか」で考えます。
- お寺が用意した場合: 実費としてお花代が必要です。
- 自分たちで持ち込んだ場合: 現金のお花代は不要なケースが多いです。
少人数の場合は花の量を減らすなどの調整ができることもあるため、事前に相談してみると良いでしょう。
香典とお花代の役割の違いとは?別々に包むべきか解説
「香典」と「お花代」は言葉が似ているため混同されやすいですが、渡す相手と目的が明確に異なります。
| 費目 | 渡す相手 | 目的 |
|---|---|---|
| 香典 | 施主(遺族) | 故人への供養と、遺族への金銭的支援。 |
| お花代 | お寺 | 本堂やお墓にお供えするお花の実費・謝礼。 |
| (参列者の)御供花料 | 施主(遺族) | 供花を送る代わりに渡す現金。香典とは別に包む。 |
施主の立場としてお寺に渡すのは「お花代」です。一方、参列者が施主に渡すのは「香典」や「御供花料」となります。
施主様がお寺に渡す際、これらは役割が違うため、当然別々に管理・準備する必要があります。
お寺での法要はお花代の正しいマナーを守って安心して迎えよう
お寺での法要におけるお花代は、故人を美しくお送りするための大切な費用です。
相場や封筒の書き方など、細かいマナーはありますが、最も大切なのは故人を想う気持ちと、お寺への感謝の心です。
事前の確認と準備で当日を安心して迎えよう
改めて、お花代の準備におけるポイントを振り返ります。
- 相場は5,000円〜1万円を目安に用意する。
- 封筒は「御花代」と書き、お布施とは別の不祝儀袋に入れる。
- 不安な点はお寺や親族の年長者に事前に相談する。
分からないことをお寺に聞くのは、決して失礼ではありません。
事前にしっかりと確認し、準備を整えることで、当日は不安なく心穏やかに故人の供養に専念できるはずです。あなたの準備がスムーズに進み、温かい法要となることを願っています。