香典返しをいただいたとき、「供養のしるし」という言葉を耳にすることがあります。
しかし、供養のしるしとは具体的にどのような意味なのでしょうか?
また、香典返しが届いた際には、どのようなマナーを守るべきなのでしょうか?
本記事では、供養のしるしの意味や香典返しの正しい受け取り方、連絡の際の例文などを詳しく解説します。
香典返しを通して、故人への思いと遺族への感謝の気持ちを表すためのポイントを、ぜひ知っておきましょう。
- 供養のしるしとは、香典返しのことを指し、故人の冥福を祈る贈り物である
- 香典返しにお礼は不要で、届いたことを簡潔に伝えるのがマナーである
- 香典返しの連絡には、故人を偲ぶ言葉や遺族への気遣いを添えるとよい
- 香典返しを通して、故人への思いと遺族への感謝の気持ちを表すことが大切である
香典返しでご供養のしるしをいただいたときは?
香典返しにお礼は必要なのでしょうか?
香典返しにお礼は不要です。なぜなら、香典返しは香典に対するお礼の品であり、それ以上のお礼を重ねる必要がないからです。
むしろ、香典返しにお礼を言うことは、「お礼のお礼」となり、失礼に当たる可能性もあります。
ただし、香典返しが無事に届いたことを伝える目的で、簡単な連絡を入れることは問題ありません。その際は、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 直接的な「ありがとうございます」などの感謝の言葉は避ける
- 「重ね重ね」などの重ね言葉は不幸が続くイメージにつながるため使わない
- 遺族への気遣いや見舞いの言葉を添える
供養のしるしとは何を意味するのか
供養のしるしとは、故人の冥福を祈り、その魂を弔うための贈り物を意味します。香典返しは、お香典をいただいた方への感謝の気持ちとともに、故人の供養の一環として贈られるものです。
四十九日法要や一周忌など、一定の法要が済んだ後に贈られることが多く、「お香典の一部を御仏前にお供えし、残りを参列者に配る」という意味合いがあります。また、法要を無事に済ませたことの報告の意味も込められています。
したがって、香典返しは単なる返礼品ではなく、故人を偲び、供養するためのしるしとしての意味を持っているのです。
供養のしるしって、具体的にはどんなものが多いんでしょうか?
良い質問ですね。一般的には、お菓子や缶詰、タオルなどの日用品が多いです。地域や宗教によって異なりますが、故人の好きだったものや、季節に合わせたものを選ぶ方も多いですよ。大切なのは、品物の種類よりも、その背後にある思いです。
香典返しのメッセージを添える際のポイント
香典返しに添えるメッセージは、単なるお礼の言葉だけでなく、故人を偲ぶ気持ちや、法要を無事に済ませたことの報告を盛り込むことが大切です。また、相手への感謝の気持ちを丁寧に伝えることも忘れずに。
メッセージを書く際は、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 「ありがとうございます」などの直接的な感謝の言葉は避ける
- 「ご冥福をお祈りいたします」などの故人を偲ぶ言葉を添える
- 「○○の法要を無事に済ませることができました」と報告する
- 相手への気遣いや見舞いの言葉を忘れずに
また、親しい間柄の場合は、故人との思い出や、生前の故人の好きだったものなどに触れるのもいいでしょう。メッセージを通して、改めて故人を偲ぶ機会にもなります。
ご供養のおしるしをいただきましたと伝える例文
香典返しが届いたことを伝える際の例文をご紹介します。手紙やはがきの場合は、以下のような文面がおすすめです。
先日は、〇〇の葬儀に際し、ご会葬賜りまして誠にありがとうございました。
また、このたびは、ご丁重なご供養のおしるしをいただき、恐縮いたしております。
皆様のお志に報いるべく、故人を偲び、供養してまいる所存でございます。
時節柄、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。
略儀ながら、書中にてお礼まで。
令和〇年〇月吉日
山田花子
「ご供養のおしるし」という表現を用いることで、香典返しの意味をくみ取ってもらえます。 また、「恐縮です」という控えめな表現で、お礼の言葉に代えています。
メールの場合は、以下のような例文を参考にしてください。
先日は、〇〇の葬儀に際し、ご会葬いただき、ありがとうございました。
おかげさまで、〇〇日に四十九日法要を無事に済ませることができました。
このたびは、ご丁重なご供養のおしるしをいただき、恐れ入ります。
皆様のご厚情に心より感謝申し上げます。
まだまだ寂しい日々ではございますが、皆様にいただいたお志を胸に、前を向いて歩んでまいります。
何卒、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎ、メールにてお礼まで。
山田花子
故人を偲ぶ気持ちや、前を向いて歩んでいく決意などを盛り込むと、より丁寧なメッセージになります。
香典のみの場合のお礼状は簡単に
香典のみをいただいた場合、香典返しは不要とされています。しかし、香典をいただいたことへの感謝の気持ちは伝えたいものです。
その場合は、以下のような簡単なお礼状を送るのがおすすめです。
先日は、〇〇の葬儀に際し、ご会葬並びにご香典を賜り、誠にありがとうございました。
皆様からのお志を無駄にすることなく、故人を偲び、供養してまいります。
略儀ながら、書中にてお礼申し上げます。
令和〇年〇月吉日
山田花子
香典をいただいたお礼と、故人を偲ぶ言葉を添えるだけでも十分です。あまり多くを語らず、シンプルにまとめましょう。
メッセージを書くのは難しく感じるかもしれません。でも、形式ばかりにこだわらず、素直な気持ちを伝えることが一番大切です。故人との思い出や、感謝の気持ちを率直に表現してみてください。
四十九日の香典返しに対するお礼の言葉とは
香典のお返しはなんて言えばいい?
四十九日法要の際にいただいた香典に対するお返しについて、「香典のお返し」という言葉を使うのが一般的です。
例えば、以下のような言い方があります。
- 香典のお返しとして、〇〇をお送りいたします。
- 先日は、香典を賜りありがとうございました。つきましては、お返しの品を用意いたしましたので、ご笑納ください。
「香典のお返し」という言葉を使うことで、相手に意図が伝わりやすくなります。
また、「ご厚志のお返し」「ご芳志のお返し」という言い方も使われます。「ご厚志」「ご芳志」は、香典を丁寧に表現した言葉です。
- ご厚志のお返しとして、僅かばかりの品ではございますが、ご笑納いただければ幸いです。
- この度は、ご丁重なご芳志を賜り、ありがとうございました。つきましては、ご芳志のお返しをお送りいたしますので、お納めください。
相手への感謝の気持ちを込めて、丁寧な言葉を選ぶのもいいでしょう。
お供えのお返しのお礼の言葉の例
お供えをいただいた場合のお返しの品は、「粗供養(そくよう)」と呼ばれます。粗供養は、お供えの一部を参列者に配るという意味があります。
粗供養のお返しのお礼の言葉としては、以下のような例があります。
先日は、〇〇の葬儀に際し、ご丁重なお供えを賜り、ありがとうございました。
皆様からのお心遣いに、心より感謝申し上げます。
つきましては、粗供養のしるしとして、僅かばかりの品ではございますが、ご笑納くださいますようお願い申し上げます。
略儀ながら、書中にてお礼まで。
令和〇年〇月吉日
山田花子
「粗供養のしるし」という言葉を使うことで、お供えのお返しの意味を伝えることができます。
また、「粗品」という言葉を使って、以下のようにお礼を述べることもできます。
先日は、〇〇の葬儀に際し、ご丁重なお供えを賜り、ありがとうございました。
皆様からの温かいお心遣いに、心より感謝申し上げます。
故人も、さぞ喜んでいることと存じます。
つきましては、粗品ではございますが、お供えのお返しとしてお受け取りください。
何卒、ご笑納のほどお願い申し上げます。
略儀ながら、書中にてお礼まで。
令和〇年〇月吉日
山田花子
「粗品」は、「つまらない品物」という意味の謙譲語です。相手に対する謙虚な気持ちを表すことができます。
香典返しのお礼メールを友人に送るコツ
香典返しのお礼を友人にメールで送る場合は、改まった表現よりも、やや砕けた表現を使うのがおすすめです。
以下のような例文を参考にしてください。
〇〇へ
先日は、父の葬儀に駆けつけてくれて、ありがとう。
お前の顔を見て、父も喜んでいると思う。
それに、香典までいただいて、本当に感謝しています。
つきましては、お返しの品を送らせてもらいますので、受け取ってください。
父の分まで、今後ともよろしく頼むよ。
山田花子
「○○へ」など、名前を出すことで親しみを込めることができます。また、「お前」「頼む」など、友人に対して使えるくだけた表現を適度に盛り込むのもいいでしょう。
ただし、くだけすぎても失礼に当たる可能性があるので、バランスを考えることが大切です。相手との関係性や、普段の会話のトーンを思い出しながら、適切な言葉を選びましょう。
粗供養のお礼をメールで伝える文例
粗供養のお礼をメールで伝える場合は、以下のような例文を参考にしてください。
〇〇様
先日は、父の葬儀に際し、お忙しい中ご会葬いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、四十九日法要を無事に済ませることができました。
ご丁重なお供えもいただき、重ねて御礼申し上げます。
つきましては、粗供養のしるしとして、お供えの一部をお返ししたく存じます。
ほんの気持ちではございますが、ご笑納いただければ幸いです。
まだまだ寂しい日々が続きますが、皆様からいただいたお心遣いを胸に、前を向いて歩んでまいります。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎ、メールにてお礼まで。
山田花子
「粗供養のしるし」という言葉を使って、お供えのお返しの意味を伝えるのがポイントです。また、故人を偲ぶ気持ちや、前を向いて歩む決意を添えることで、丁寧さがアップします。
メールの場合は、改行を適度に入れることで、読みやすさが増します。また、件名に「お礼」や「粗供養のお返し」など、用件がわかるキーワードを入れておくのも忘れずに。
香典返しに対するお礼は本当に必要?
繰り返しになりますが、香典返しに対するお礼は不要です。なぜなら、香典返しはお香典に対するお礼の品だからです。
香典返しにさらにお礼を言うことは、「お礼のお礼」となってしまい、返って失礼に当たる可能性があります。また、お礼を何度も繰り返すことは、「不幸が続く」というマイナスのイメージにもつながりかねません。
ただし、香典返しが無事に届いたことを伝える目的での簡単な連絡は問題ありません。その場合は、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 直接的な「ありがとうございます」などの感謝の言葉は避ける
- 「重ね重ね」などの重ね言葉は不幸が続くイメージにつながるため使わない
- 遺族への気遣いや見舞いの言葉を添える
- 長々と書かず、簡潔にまとめる
香典返しへのお礼は不要ですが、一言の連絡で、遺族への気遣いを示すことができます。マナーを守りつつ、相手の気持ちに寄り添う言葉を選びましょう。
Q&A:香典返しについてのよくある質問
Q:香典返しが届くのが遅いのですが、どのくらいの期間待てばいいですか?
A:香典返しは、故人の四十九日法要や一周忌など、一定の区切りの法要が済んでから送るのが一般的です。ただし、遺族の都合により、半年から1年ほどかかることもあります。 焦らずに待つのが望ましいでしょう。
Q:香典返しが届いたのですが、中身を確認してもいいですか?
A:香典返しの中身は、届いたその場で確認するのがマナーです。ただし、他の人の目に触れない場所で開けるようにしましょう。品物の種類や金額によっては、ご自分の香典の金額が推し量られてしまう可能性もあるため、慎重に扱う必要があります。
Q:香典返しが届いたことを、SNSで報告してもいいですか?
A:香典返しが届いたことを、SNSで公開するのは控えましょう。香典返しは、あくまでも個人的なやり取りだからです。 SNSで公開することで、遺族や他の参列者の気持ちを害してしまう恐れがあります。
Q:香典返しの品物が気に入らないのですが、文句を言ってもいいですか?
A:香典返しの品物に文句を言うのは厳禁です。香典返しは、あくまでも遺族の気持ちの表れであり、参列者への感謝の品物です。品物の価値を云々するのは、マナー違反といえるでしょう。
Q:香典返しが届かないのですが、催促してもいいですか?
A:香典返しの催促は、絶対にしてはいけません。 遺族の事情により、香典返しが送れない場合もあります。また、そもそも香典返しは義務ではなく、あくまでも遺族の気持ち次第です。催促することで、遺族の気持ちを深く傷つけてしまう恐れがあるので、控えましょう。
まとめ:供養のしるしとしての香典返しのマナー
香典返しは、香典に対する遺族からの感謝の気持ちと、故人の冥福を祈る供養のしるしです。お返しをいただいた際は、感謝の気持ちを伝えつつ、故人を偲ぶ言葉を添えるのがマナーです。
また、香典返しにさらにお礼を返すことは不要であり、かえって失礼に当たる場合もあります。ただし、届いたことを伝える簡単な連絡は問題ありません。
連絡する際は、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 直接的な感謝の言葉は避け、「恐縮です」など控えめな表現を使う
- 「ご冥福をお祈りいたします」など故人を偲ぶ言葉を添える
- 「○○の法要を無事に済ませることができました」と報告する
- 「くれぐれもご自愛ください」など遺族を気遣う言葉を忘れずに
マナーを心得た上で、遺族の気持ちに寄り添うことが何より大切です。香典返しを通して、改めて故人を偲び、遺族とのつながりを確かめ合う機会にしたいものですね。
まとめ
- 供養のしるしとは、故人の冥福を祈り、その魂を弔うための贈り物である
- 香典返しは、供養の一環として贈られる品である
- 香典返しには、法要を無事に済ませたことの報告の意味が込められている
- 香典返しにお礼を言う必要はなく、かえって失礼になる可能性がある
- 香典返しが届いたことを伝える連絡は、簡潔に行うのがマナーである
- 香典返しの連絡では、直接的な感謝の言葉は避け、控えめな表現を使う
- 香典返しの連絡には、故人を偲ぶ言葉や遺族への気遣いの言葉を添えるとよい
- 香典のみの場合は、簡単なお礼状で十分である
- 香典返しの品物に文句を言うのは厳禁である
- 香典返しが届かない場合でも、催促はしてはいけない
- 友人へのお礼メールは、くだけた表現を適度に使うのがおすすめである
- 香典返しを通して、故人を偲び、遺族とのつながりを確かめ合うことが大切である