急な訃報に接し、慌ただしく準備を進める中で「焼香料と香典、一体何が違うの?」と戸惑ってしまうことはありませんか?
言葉が似ているだけに、使い分けに迷うのは当然のことです。この記事では、渡す相手や正しい表書き、金額相場について、初めての方でも分かりやすいように整理しました。
「もし間違えたらどうしよう」という不安を少しでも軽くし、最後のお別れに心を向けられるようお手伝いします。
【忙しい方へ:要点まとめ】結論からお伝えすると、「香典」は通夜・葬儀で遺族へ渡す弔慰金であり、「焼香料」は主に法要で寺院へ支払う費用、または四十九日以降に遺族へ供える金銭を指します。
| 項目 | 香典 (Koden) | 焼香料・御香料 (Shokoryo) |
|---|---|---|
| 主な時期 | 通夜・葬儀・告別式 | 法要・年忌法要(四十九日以降) |
| 渡す相手 | 遺族(喪主) | 寺院(住職)または 遺族 |
| 主な表書き | 御霊前(浄土真宗除く) | 御香料・御仏前 |
焼香料と香典の違いを瞬時に判断!渡す相手と時期の結論

この記事で分かること
- 焼香料と香典の決定的な違いと、「今」どちらを選ぶべきかの基準
- 【早見表】一目で分かる!状況別の正しい表書きと金額相場
- 恥をかかないための不祝儀袋の選び方・書き方・渡し方ガイド
- お布施と焼香料の区別など、寺院へのお礼に関するマナー
「いつ、誰に、何という名目で渡せばよいのか」。これが最も悩みやすく、混同しやすいポイントではないでしょうか。
言葉の響きは似ていますが、実は使われる場面と相手は明確に異なります。少し複雑に感じるかもしれませんが、以下の基準さえ押さえておけば、当日の受付やお寺様へのご挨拶で迷うことはありません。
30秒で解決!焼香料・香典・お布施の使い分け早見表
弔事における金銭のやり取りは、時期と相手によって呼び名が変わります。いまご自身がどの状況にいるのか、以下の表で確認してみてください。これさえ見れば、どの表書きを選べばよいか一目で判断できるはずです。
| 時期・状況 | 渡す相手 | 最適な表書き(名目) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 通夜・葬儀 | 遺族 | 御霊前(または御香典) | 浄土真宗は「御仏前」 |
| 四十九日法要〜 | 遺族 | 御仏前(または御香料) | 忌明け後は仏様になるため |
| 法要(寺院開催) | 寺院 | 御焼香料 | 施設使用料や実費の意味 |
| 読経・戒名のお礼 | 寺院 | お布施 | 焼香料とは別包みが丁寧 |
「香典」は遺族への弔意で「焼香料」は寺院等への対価
「香典」は、故人の霊前に供えるお香の代わりとして、遺族に対して渡すものです。ここには、「突然のことで大変でしょう」と葬儀の急な出費を助け合う、相互扶助の温かい気持ちが込められています。
一方で、「焼香料」という言葉が登場する場面は主に2つあります。
一つは寺院に対して、会場を借りたりお香を焚いてもらったりする際の「実費」として支払うケース。もう一つは、法要の際に遺族へ渡す金品の表書きとして、香典の代わりに「御香料」とするケースです。
渡す相手が「僧侶」なのか「遺族」なのかで意味合いがガラリと変わる点だけ、心に留めておいてください。
通夜・葬儀から四十九日法要までで呼び名が変わる理由
「どうして時期によって呼び名を変える必要があるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。実はこれ、仏教における「死後の世界観」が深く関わっているのです。
一般的に、死後49日間はまだ成仏しておらず「霊」の状態であると考えられています。そのため、この期間は「御霊前」を用います。
そして、四十九日法要をもって無事に成仏し「仏」となると考えられるため、それ以降は「御仏前」へと変わるわけです。
ちなみに「御香料」は、霊か仏かに関わらず「お香をお供えする」という意味で使える言葉です。時期を問わず利用できる便利な表現として覚えておくと、いざという時に安心ですよ。
なぜ使い分ける?本来の意味から知るマナーの基礎知識

「なんでこんなに細かく分かれているんだろう」と、少し面倒に感じることもあるかもしれません。
しかし、形式的なルールの背後には、日本人が古くから大切にしてきた「助け合い」と「供養」の精神が息づいています。本来の意味を少しだけ知っておくと、形式にとらわれるだけでなく、心を込めた振る舞いができるようになります。
香典の由来は相互扶助!急な不幸に対する支援の役割
もともと香典は「香奠」と書き、文字通りお香を供えることを意味していました。
昔の葬儀では、大量の線香や抹香が必要だったため、参列者が現物を持ち寄っていたのです。また、村社会では葬儀の際に食料やお酒を持ち寄り、遺族の経済的負担を少しでも減らそうとする習慣がありました。
- 相互扶助の精神: 突然の不幸による出費を、みんなで支え合う。
- 現物から現金へ: 現代では管理しやすい現金が主流になりましたが、想いは同じです。
- 遺族への配慮: 悲しみの最中にある遺族を支えるという意味が強く込められています。
焼香料はお香代の実費や寺院施設への寄進という意味
「焼香料」には、より実務的な意味合いが含まれることがあります。
特に施主(喪主)が寺院に渡す場合、それは読経への謝礼(お布施)とは異なり、純粋な「場所代」や「消耗品代」としての側面を持ちます。
寺院で法要を行う際、本堂の使用料やお茶菓子代、光熱費などがかかりますよね。これらを「御焼香料」として包むことで、寺院の維持管理に協力するという「寄進」の意味になります。遺族に渡す場合でも、「お香代として使ってください」という、供養の実費を支援するニュアンスになります。
現代の葬送儀礼において両者が混同されやすい背景とは
現代では葬儀の形式も多様化し、言葉の定義が少し曖昧になりつつあるのが現状です。
例えば、「御香典」という表書きが印刷された封筒がコンビニで手軽に買えるため、法要でもついそのまま使ってしまうケースが見受けられます。
また、「焼香料」という言葉自体があまり日常的でないため、「お香をあげるためのお金=すべて香典」と解釈されがちです。しかし、受け取る側、特に寺院や伝統を重んじる遺族にとっては意味が異なるため、正しい理解を持っておくことが大人のマナーとして大切です。
状況別で見る表書きの正解|御霊前・御仏前・御香料

コンビニや文具店で不祝儀袋を前にして、「どれを選べばいいの?」と手が止まってしまった経験はありませんか?
宗教や宗派、そして時期によって正解が異なるため、間違えて失礼にならないか心配になるものです。ここでは、状況に応じた最適な表書きの選び方を解説します。
通夜・葬儀での表書きは宗教や宗派で異なる点に注意
一般的な仏式葬儀では「御霊前」が基本ですが、相手の宗教が仏教以外の場合もあります。事前に確認できないときは、どの宗教でも失礼にならない書き方を選ぶのが賢明です。
- 仏教(一般): 御霊前、御香典
- 神道(神式): 御玉串料、御榊料、御神前
- キリスト教: 御花料、献花料
- 宗教不明・無宗教: 御霊前、または「御香料」が無難です。
四十九日法要以降は「御仏前」か「御香料」が一般的
四十九日の忌明け法要(満中陰法要)からは、故人が仏様となるため、表書きは明確に切り替わります。これ以降の年忌法要(一周忌、三回忌など)に参列する際は、「御仏前」を用いるのが正式なマナーです。
もし手元に「御霊前」の袋しかなく、買い直す時間がない場合でも、無理に使わず「御香料」と書き直すか、白無地の封筒に手書きする方が丁寧です。法事において「御霊前」を使うことは、まだ成仏していないことを意味してしまうため、避けるべき表現とされています。
浄土真宗は「即身成仏」のため葬儀から御仏前を使う
特筆すべき例外として、浄土真宗があります。
ご存じない方も多いのですが、浄土真宗では、亡くなった瞬間に阿弥陀如来の力によって仏になる「即身成仏(往生即成仏)」を教義としています。そのため、霊として彷徨う期間が存在せず、「御霊前」という概念自体がありません。
- 通夜・葬儀: 「御仏前」または「御香典」
- 法要: 「御仏前」または「御香料」
参列する葬儀が浄土真宗だと分かっている場合は、最初から「御仏前」と書くのが正しい作法です。もし宗派が不明な場合は、「御香典」または「御香料」としておけば間違いありません。
恥をかかない袋の選び方と渡し方|水引・薄墨・袱紗

表書きが無事に決まっても、次は「袋の選び方」や「渡し方」で緊張してしまうものです。
中身の金額に見合った袋を選び、正しい手順で渡すことは、故人と遺族への敬意の表れとなります。具体的なアイテムの選び方と所作について確認しておきましょう。
包む金額の格に見合った香典袋を選ぶための基本基準
香典袋(不祝儀袋)は、包む金額によって使い分ける必要があります。
少額なのに豪華な水引が付いた袋を使ったり、逆に高額なのに印刷された簡易な袋を使うのは不釣り合いとされます。詳細は香典の水引の色はどれ?宗教や金額に合わせた正しい選び方の基本も参考にしてみてください。
- 3,000円〜5,000円: 水引が印刷された簡易な袋
- 1万円〜3万円: 黒白または双銀の水引(実物)が付いた袋
- 3万円以上: 双銀の水引で、高級和紙(奉書紙)を用いた大判の袋
悲しみの深さを表現する「薄墨」と「濃墨」の使い分け
筆ペンや毛筆で書く際、墨の濃さにも意味があります。
通夜や葬儀では、薄墨(うすずみ)を使用するのがマナーです。これには「突然のことで墨を磨る時間もなかった」「涙で墨が薄まってしまった」という、言葉にできない悲しみの意味が込められています。
一方、四十九日以降の法要では、通常の濃墨(こずみ)を使用します。これは「忌明けを迎え、心落ち着けて墨を磨りました」という意味になります。法要の「御香料」や「焼香料」を書く際は、濃い黒色で書くようにしましょう。
袱紗(ふくさ)の正しい包み方と受付での差し出し手順
香典袋をそのままポケットやバッグから出すのはマナー違反です。必ず袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。弔事では、紫や紺、グレーなどの寒色系の袱紗を用います。
- 包み方: 袱紗をひし形に広げ、中央に袋を置きます。右→下→上→左の順に畳みます(左側が一番上に来るように、「悲しみは左から」と覚えます)。
- 渡し方: 受付の手前で袱紗を開き、袋を取り出します。受付の方から文字が読める向き(反時計回りに回す)にして、両手で差し出します。
- 挨拶: 「この度はご愁傷様でございます」などとお悔やみの言葉を添えます。
年齢や関係性で決まる金額相場と失礼のない包み方目安
お金の話は、親しい間柄でもなかなか聞きにくいものですよね。
「少なすぎても失礼だし、多すぎても相手に気を使わせてしまう…」そんな悩みどころを解決するために、一般的な相場の目安を整理しました。
【関係性別】親族・友人・会社関係で包む金額の違い
一般的に、血縁関係が近いほど金額は高くなります。また、ご自身の年齢が上がるにつれて社会的責任が増し、相場も高くなる傾向があります。寺院へ渡す場合の相場については、お寺の焼香料いくら包む?金額の相場とマナーで詳しく解説されています。
- 両親: 3万円〜10万円(自身が喪主でない場合)
- 兄弟姉妹: 3万円〜5万円
- 祖父母: 1万円〜3万円
- その他の親族: 1万円〜2万円
- 友人・知人・職場関係: 5,000円〜1万円
- 隣人: 3,000円〜5,000円
法要後の会食有無で変わる?食事代を考慮した包み方
四十九日や一周忌などの法要では、読経の後に「お斎(おとき)」と呼ばれる会食の席が設けられることがあります。この場合、包む金額は「法要の御香料相場 + 食事代」と考えるのが一般的です。
食事代はお一人様5,000円〜1万円程度が目安です。例えば、友人の法要のみなら1万円でも十分ですが、会食に出席する場合は1万5,000円〜2万円程度を包むか、あるいはキリよく2万円とする配慮が求められます。ご夫婦で出席する場合は、2人分の食事代を加算しましょう。
偶数は避けるべき?現代の数字マナーと新札の是非
かつては「偶数は割り切れる=縁が切れる」として避けられてきましたが、最近では「2万円」はペアの意味もあり、許容される傾向にあります。ただし、「4(死)」や「9(苦)」が付く金額(4,000円、9,000円)は忌み数として絶対に避けてください。
また、お札の状態については、葬儀では「旧札(使い古したお札)」を使います。新札しか手元にない場合は、一度折り目を付けてから包むのが作法です。
逆に、法要(焼香料)や寺院へのお布施は、あらかじめ予定されている行事なので新札でも構わないとされていますが、あまりに真新しいお札よりは、適度なきれいなお札が無難です。
お布施や御車代とどう違う?寺院へ渡す金銭項目の整理
施主の立場になると、参列する時とはまた違った緊張感があるものです。
特にお寺様へのお渡しは、いくつもの種類があって混乱しやすいポイント。これらをすべて「お布施」としてまとめてよいのか、それとも分けるべきなのか、ここで整理しておきましょう。
読経への謝礼「お布施」と焼香料は別々に包むべきか
基本的に「お布施」は、読経や戒名をいただいたことへの僧侶(ご本尊)に対する謝礼です。一方、寺院に対して渡す「焼香料」は、前述の通り施設使用料や実費の意味合いが強くなります。
丁寧に行うなら、お布施とは別に「御焼香料」として5,000円〜1万円程度を包むのが良いでしょう。
ただし、近年ではお布施の中にすべて含めて渡すケースも増えています。地域の慣習や寺院によって異なるため、不安な場合はお寺へのお礼・志に関する正しい作法と注意点を確認するか、直接寺院に尋ねてしまっても失礼にはあたりません。
僧侶にお渡しする御車代や御膳料が必要になるケース
お布施以外にも、状況に応じて必要になる費用があります。これらは別々の封筒を用意し、表書きを明確にして渡すのがマナーです。
- 御車代: 僧侶が自前の車や交通機関で会場(自宅や斎場)に来てくれた場合に渡します。相場は5,000円〜1万円程度です。寺院で法要を行う場合は不要です。
- 御膳料: 法要後の会食(お斎)を僧侶が辞退された場合に、食事代の代わりとして渡します。相場は5,000円〜1万円程度です。
寺院へ渡す際の表書きマナーと封筒の選び方のポイント
寺院へ渡す金封は、不幸ごとではない(供養は徳を積む行為)ため、薄墨ではなく濃い黒墨で書きます。水引は地域によりますが、関西などでは黄白の水引、一般的には双銀や白封筒を使うことが多いです。
お布施は奉書紙に包むのが最も丁寧ですが、市販の白封筒(郵便番号枠のないもの)でも問題ありません。「お布施」「御車代」「御膳料」とそれぞれの封筒に表書きをし、小さなお盆(切手盆)に乗せて差し出すのが正式な作法です。
なお、金額のトラブルが心配な方は、国民生活センターの「葬儀サービス」に関する注意喚起なども参考にしつつ、事前に寺院や葬儀社へ率直に確認することをお勧めします。
迷いやすい事例で確認!家族葬や代理出席の正しい対応
最近は「家族葬」も増えてきましたし、仕事の都合でどうしても参列できないこともあるでしょう。
「こんな時はどうすれば?」というイレギュラーな場面での対応について、迷いやすいケースをまとめました。
家族葬で「辞退」の案内があった場合はどう判断する?
家族葬の案内状に「御厚志お断りします」「香典は固くご辞退申し上げます」と記載がある場合は、その意向を尊重し、何も持参しないのがマナーです。無理に渡すと、かえって遺族にお返しの手間をかけさせてしまいます。
もし「供花・供物は辞退」とだけあり、香典についての記載がなければ、念のため用意していくのが無難です。受付で辞退を告げられたら、その場ですぐに引き下がりましょう。
会社名義や代理で渡す際の書き方と連名の正しいマナー
上司の代理で参列する場合、香典袋には上司の氏名を書き、その名前の下に小さく「代」と記入します。受付の芳名帳にも同様に記入し、その下に「(代理)自分の名前」を書き添えます。
部署などで連名にする場合は、3名までなら右から目上の順に書きます。4名以上の場合は、代表者名を中央に書き、その左に「外一同(ほかいちどう)」や「〇〇部一同」と書きます。その際、全員の氏名と金額を書いた別紙を中に同封することを忘れないでください。
参列できない時に郵送する場合の手順と手紙の添え方
遠方などで参列できない場合は、香典を現金書留で郵送しても構いません。この際、現金を直接書留封筒に入れるのではなく、必ず不祝儀袋(香典袋)にお金を入れてから、それを現金書留封筒に入れます。
お金だけを送るのではなく、短いお悔やみの手紙(一筆箋)を同封するのが丁寧です。「遠方のため参列できず申し訳ございません。心ばかりですがご霊前にお供えください」といった一言を添えるだけで、弔意がより伝わります。
形式よりも故人と遺族への想いを込めてマナーを実践する
ここまで、焼香料と香典の違いや細かなマナーについて解説してきましたが、どうか形式にとらわれすぎないでくださいね。
最も大切なのは「故人を偲び、遺族をいたわる心」です。形式を気にするあまり、お別れの時間を不安な気持ちで過ごしてしまっては本末転倒です。
迷ったら「御香料」が安全!遺族への配慮を最優先に
もし当日に表書きで迷ったり、宗派を忘れてしまったりした場合は、「御香料」という言葉を選んでください。これはあらゆる場面で使える、失礼のない表現です。
また、多少のマナー違反があったとしても、駆けつけてくれたあなたの気持ちこそが、遺族にとっては何よりの慰めになります。自信を持って参列し、最後のお別れを大切になさってください。
この記事を読んで、当日の持ち物や封筒の準備が整ったら、あとは故人との思い出を胸に、静かにお見送りをするだけです。もしお寺へのお礼や細かい準備で不安が残る場合は、関連記事を確認するか、担当の葬儀社へ気軽に相談してみてください。