「遺産はいらないから、縁を切りたい」
そう思ったことはありませんか?
もしかしたら、あなたは今、辛い状況にいるのかもしれません。 長年疎遠だった親族とのトラブル、 あるいは、遺産相続をきっかけにこじれてしまった家族関係…。
「遺産はいらない、縁を切りたい」 そう願う気持ちは、決して恥ずべきことではありません。
しかし、実際に縁を切るには、どうすれば良いのでしょうか? 相続放棄、姻族関係終了届、遺言書… 様々な方法がある中で、 どれがあなたにとって最適な選択なのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、知っておくべき知識や具体的な手続き、 そして、心の平穏を取り戻すためのヒントをまとめました。
この記事を読み進めることで、 あなたはきっと、これから進むべき道を見つけることができるはずです。
- 縁を切りたい相手との関係を断つには、物理的な距離を置くことが重要。
- 相続放棄をすることで、遺産相続に関わることなく縁を切ることができる。
- 遺言書を活用することで、特定の相手に遺産を相続させないよう指定できる。
- 感情的な問題を抱えている場合は、専門家のサポートも検討する。
【遺産はいらないから縁を切りたい】そう思った時に知っておくべきこと

縁を切った親が死んだら、連絡は来る?
結論から言うと、縁を切った親が亡くなった場合でも、あなたに連絡が来る可能性は十分に考えられます。
なぜなら、戸籍上は親子関係が継続しているからです。たとえ長年疎遠になっていたとしても、法律上はあなたは親の子供であり、民法887条で定められているように、相続人となる資格を持ちます。
具体的には、以下のようなケースで連絡が来る可能性があります。
- 遺産相続の手続き: 相続手続きには、相続人全員の協力が必要となる場合があります。遺産分割協議を行う場合、相続人全員の合意が必要となるため、あなたも協議に参加しなければなりません。また、相続放棄をする場合でも、家庭裁判所への申述が必要です。そのため、あなたが相続人である場合、他の相続人や弁護士、司法書士などから連絡が来る可能性があります。
- 遺品整理: 親の遺品整理をする際に、あなたの持ち物や連絡先が見つかり、連絡が来る可能性があります。例えば、古いアルバムや手紙が出てきたり、携帯電話の連絡先にあなたの名前が残っていたりするかもしれません。
- 葬儀への参列: 親族や知人から、葬儀への参列を促される可能性があります。特に、あなたが親の子供であることを知っている人がいれば、連絡が来る可能性は高くなります。
- 債務の請求: 親に借金があった場合、債権者からあなたに連絡が来る可能性があります。相続放棄をしていなければ、あなたは親の債務を相続することになるからです。
これらの連絡を避けるためには、事前に相続放棄の手続きをしておくことをおすすめします。相続放棄をすれば、法律上は最初から相続人でなかったものとみなされ、相続に関する一切の連絡を拒否することができます。
相続放棄の手続きは、親の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。必要な書類や手続きの流れは、家庭裁判所のホームページや窓口で確認することができます。
相続放棄には、3ヶ月以内という期限が設けられています。相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きを行わないと、相続放棄をすることができなくなってしまうので注意が必要です。
もし、すでに3ヶ月が経過してしまっている場合は、限定承認という手続きを検討するのも良いでしょう。限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内で、被相続人の債務を弁済する手続きです。これにより、相続した財産を超える債務を支払う必要がなくなります。
遺産相続でもめる兄弟、どうすればいい?
遺産相続でもめる兄弟は、残念ながら少なくありません。最高裁判所の統計によると、遺産分割事件は、毎年1万件以上発生しています。
原因としては、
- 遺産の分け前: 不動産や預貯金などの遺産の分け前をめぐって、意見が対立することがあります。特に、遺産の価値が高い場合や、相続人の人数が多い場合は、もめ事に発展しやすくなります。
- 相続手続きの方法: 相続手続きの方法についても、意見が対立することがあります。例えば、遺産分割協議を行うか、調停を申し立てるか、審判を請求するかなど、様々な選択肢があり、相続人によって希望が異なる場合があります。
- 過去のいざこざ: 過去の兄弟間のいざこざが、遺産相続をきっかけに再燃することがあります。例えば、過去の金銭トラブルや、親の介護をめぐる意見の対立などが、遺産相続でもめ事に発展する原因となることがあります。
などが挙げられます。
もし、あなたが遺産相続でもめている兄弟の一人であれば、まずは冷静に話し合うことが大切です。お互いの意見や希望を聞き、妥協点を見つけるように努力しましょう。
話し合いの際には、以下の点に注意することが大切です。
- 感情的にならない: 感情的な発言は、相手を刺激し、話し合いを難航させる原因となります。冷静に、論理的に話し合うように心がけましょう。
- 相手の立場を理解する: 相手の立場や気持ちを理解しようと努めることで、お互いの妥協点を見つけやすくなります。
- 具体的な提案をする: 漠然とした意見を述べるのではなく、具体的な提案をすることで、話し合いがスムーズに進みます。
話し合いが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。専門家は、法律的な観点からアドバイスをしてくれたり、遺産分割協議を仲介してくれたりします。
また、トラブルを未然に防ぐためには、親が生きているうちに、遺言書を作成してもらうのも有効です。遺言書があれば、遺産の分け方や相続手続きの方法が明確になり、兄弟間で争いが起きにくくなります。
親の死後、兄弟と縁を切るには?
親の死後、兄弟と縁を切りたいと考える人もいるかもしれません。しかし、法律上は「縁を切る」という制度はありません。戸籍から抜けることはできても、親子や兄弟姉妹という関係は消滅しません。
縁を切る、つまり絶縁とは、法律用語ではなく、一般的に人間関係を断つことを指します。そのため、法的な手続きによって縁を切ることはできません。
兄弟と縁を切りたい場合は、物理的に距離を置くしかありません。連絡を絶ち、会うことを避け、生活圏を別にすることで、事実上の縁切り状態になることは可能です。
ただし、相続が発生した場合は、相続人として手続きに参加する必要があります。この場合でも、弁護士や司法書士に代理人を依頼することで、兄弟と直接関わることを避けることができます。
また、親が生きているうちに遺言書を作成してもらうことで、相続が発生した際に兄弟と関わる可能性を減らすことができます。例えば、遺言書で特定の兄弟を相続人から外したり、相続分を少なくしたりすることができます。
息子夫婦に遺産をやりたくない時は?
息子夫婦に遺産をやりたくない場合は、遺言書を作成し、相続人から外すという方法があります。遺言書には、遺産の分け方や相続人を自由に指定することができます。
民法902条では、遺言によって相続人の全部または一部を廃除することができると定められています。これを相続人の廃除といいます。
ただし、息子夫婦には遺留分という最低限の相続分が認められています。遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、息子夫婦から遺留分減殺請求をされる可能性があります。
遺留分減殺請求を避けるためには、遺言書の作成時に、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産を残さない親の気持ちとは?
遺産を残さない親の気持ちは様々ですが、主な理由としては以下のようなものが考えられます。
- 子供に頼りたくない: 子供に経済的な負担をかけたくない、子供に干渉されたくないという気持ちから、遺産を残さないという選択をする親もいます。
- 子供が自立している: 子供がすでに経済的に自立しており、遺産の必要性がないと判断した場合、遺産を残さないという選択をする親もいます。
- 遺産相続でもめるのを避けたい: 遺産相続でもめることで、子供たちの仲が悪くなるのを避けたいという気持ちから、遺産を残さないという選択をする親もいます。
- 財産を社会に還元したい: 財産を社会貢献に役立てたいという気持ちから、遺産を慈善団体などに寄付する親もいます。
近年では、「終活」という言葉が浸透し、自分の死後について考える人が増えています。その中で、遺産を残すことの意味や、子供への影響などを考慮し、遺産を残さないという選択をする人が増えていると考えられます。
遺産はいらない、縁を切りたい…その方法は?

姻族関係終了届で縁を切る
姻族関係終了届とは、婚姻によってできた義理の親族関係を終了させるための届出です。例えば、夫の死後、妻が姑との関係を解消したい場合などに利用できます。
この届出を行うことで、戸籍上は姻族関係が終了したことが記録されます。ただし、姻族関係終了届はあくまでも戸籍上の手続きであり、法律上の扶養義務などがなくなるわけではありません。
姻族関係終了届を提出する際には、以下の点に注意が必要です。
- 提出先は、届出人の本籍地または住所地の市区町村役場です。
- 必要な書類は、戸籍謄本などです。詳細は市区町村役場にお問い合わせください。
- 手数料はかかりません。
姻族関係終了届は、夫婦の一方が死亡した場合または離婚した場合に提出することができます。また、養子縁組が解消された場合にも提出することができます。
姻族関係終了届を提出する主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 精神的な負担の軽減: 姻族関係を終了させることで、精神的な負担を軽減することができます。
- 新たな生活のスタート: 姻族関係を終了させることで、新たな生活をスタートすることができます。
- トラブルの回避: 姻族関係を終了させることで、将来的なトラブルを回避することができます。
相続放棄で縁を切る
相続放棄とは、遺産相続に関する一切の権利を放棄する手続きです。プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続しません。
相続放棄をすると、法律上は最初から相続人でなかったものとみなされます。そのため、相続に関する一切の手続きや連絡を拒否することができます。
相続放棄をするには、以下の条件を満たす必要があります。
- 相続開始を知ってから3ヶ月以内に行うこと
- 家庭裁判所に相続放棄申述書を提出すること
相続放棄の手続きには、戸籍謄本などの書類が必要となります。また、家庭裁判所に手数料として800円の収入印紙を納める必要があります。
相続放棄をする主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 相続トラブルを回避できる: 遺産相続でもめる心配がなくなり、兄弟や親族との関係が悪化するのを防ぐことができます。
- 借金などの負の遺産を相続しなくて済む: 被相続人に借金があった場合でも、相続放棄をすることで、その借金を相続せずに済みます。
- 精神的な負担を軽減できる: 遺産相続に関する手続きや連絡から解放され、精神的な負担を軽減することができます。
絶縁して相続させないことはできる?
結論から言うと、絶縁して相続させないことはできません。たとえ縁を切った相手であっても、法律上は親子や兄弟姉妹という関係は消滅せず、相続権は残ります。
これは、相続制度が、被相続人の意思を尊重するだけでなく、相続人の生活保障という目的も持っているためです。そのため、被相続人が一方的に相続人の相続権を奪うことは、簡単には認められていません。
ただし、遺言書を作成することで、特定の相続人に遺産を相続させないということは可能です。遺言書に「〇〇には一切の財産を相続させない」と明記しておけば、その相続人は遺産を相続できません。
ただし、遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、遺留分減殺請求をされる可能性があります。遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人が、侵害された分の財産を請求できる権利のことです。
遺留分減殺請求を避けるためには、遺言書の作成時に、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産を継がせたくない場合の対策
遺産を継がせたくない相手がいる場合は、以下の対策を検討しましょう。
- 遺言書の作成: 遺言書で相続人を指定したり、相続分を調整したりすることで、遺産の承継をコントロールすることができます。
- 生前贈与: 生前に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。
- 相続人の廃除: 一定の要件を満たす場合、家庭裁判所に相続人の廃除を請求することができます。相続人の廃除が認められると、その相続人は相続権を失います。
- 相続欠格: 一定の犯罪行為を行った相続人は、相続欠格者となり、相続権を失います。
これらの対策を検討する際は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
家族に相続させない方法はある?
家族に相続させない方法は、いくつかあります。
- 遺言書で相続人を指定する: 遺言書で、家族以外の人を相続人に指定することができます。例えば、友人や慈善団体などを相続人に指定することができます。
- 遺言書で相続分をゼロにする: 遺言書で、特定の家族の相続分をゼロにすることができます。ただし、遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、遺留分減殺請求をされる可能性があります。
- 生前贈与で財産を減らす: 生前に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。
- 相続人の廃除: 一定の要件を満たす場合、家庭裁判所に相続人の廃除を請求することができます。相続人の廃除が認められると、その相続人は相続権を失います。
- 相続欠格: 一定の犯罪行為を行った相続人は、相続欠格者となり、相続権を失います。
これらの方法を検討する際は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
法律的に縁を切ることはできる?
結論から言うと、法律的に縁を切ることはできません。たとえ戸籍から抜けたとしても、親子や兄弟姉妹という関係は消滅しません。
これは、家族関係が戸籍によって公的に証明されるという日本の制度によるものです。戸籍は、個人の身分関係を記録する公的な帳簿であり、親子や兄弟姉妹などの関係は、戸籍に記載されることで法的に認められます。
ただし、姻族関係終了届を提出することで、婚姻によってできた義理の親族関係を終了させることはできます。
親子の縁を切りたいのですが相続はできますか?
親子の縁を切りたいと思っても、法律上は親子関係を解消することはできません。そのため、相続が発生した場合は、相続人として手続きに参加する必要があります。
ただし、相続放棄をすれば、相続に関する一切の手続きや連絡を拒否することができます。
また、親が生きているうちに遺言書を作成してもらうことで、相続が発生した際に親子関係を解消することができます。ただし、遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、遺留分減殺請求をされる可能性があります。
よくある質問
Q. 縁を切った相手から遺産相続の連絡が来たらどうすればいいですか?
A. 縁を切った相手から遺産相続の連絡が来ても、応じる義務はありません。無視しても構いませんし、弁護士や司法書士に代理人を依頼して対応してもらうこともできます。
Q. 遺産相続でもめている場合、どこに相談すればいいですか?
A. 遺産相続でもめている場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、法律的な観点からアドバイスをしてくれたり、遺産分割協議を仲介してくれたりします。
Q. 遺言書を作成したいのですが、どこに相談すればいいですか?
A. 遺言書を作成したい場合は、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、あなたの希望に沿った遺言書を作成するためのアドバイスやサポートをしてくれます。
まとめ

この記事では、遺産相続と縁切りに関する情報をまとめました。
遺産相続は、家族関係や法律が複雑に絡み合う問題です。もし、あなたが遺産相続で悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
- 縁を切った親が亡くなっても、相続人として連絡が来る可能性がある
- 遺産相続では、兄弟間でトラブルが発生しやすい
- 親の死後、兄弟と縁を切るには物理的に距離を置くしかない
- 息子夫婦に遺産をやりたくない場合は、遺言書で相続人から外すことができる
- 遺産を残さない親には、様々な理由がある
- 姻族関係終了届によって、義理の親族関係を終了させることができる
- 相続放棄によって、遺産相続に関する一切の権利を放棄することができる
- 絶縁状態でも、相続権は消滅しない
- 遺産を継がせたくない場合は、遺言書の作成、生前贈与、相続人の廃除などの対策がある
- 家族に相続させないためには、遺言書の作成、生前贈与、相続人の廃除などの方法がある
- 法律的に縁を切ることはできない
- 親子の縁を切りたい場合でも、相続放棄をすれば相続を拒否することができる
※ 上記の記事は、法律や制度に関する情報を正確に伝えるために、可能な限り最新の情報を参照し、専門用語をわかりやすく解説するよう努めています。しかし、法律や制度は常に改正される可能性があり、個別のケースによって対応が異なる場合もあります。そのため、具体的な問題については、必ず専門家にご相談ください。